山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
人間が生きているということは、手足や声や感情、体の機能すべての営みが、脳の指令によって生き生きと動かされていることであるのはいうまでもありません。
脳 血管性認知症の場合、脳に何らかの障害が起こり血流がとどこおると、酸素が不足して神経細胞が壊死に陥ります。そして、認知症が進行するほど、脳の血流が 減少するという悪循環になります。アルツハイマー型認知症の場合、脳の細胞が変性したり消失した結果、脳が縮んで認知症が進行します。
認知症の進行予防策として、人と交流する、生き甲斐を持つ、心にゆとりを持つ、適度な緊張感を持って生活する、規則正しい運動と食事、などが有効と言われています。
そうした中で音楽療法は、音楽を媒介としてさまざまな刺激を脳に与え、また、他人と交流することで脳の活性化を図ろうとするものです。
音楽によって、どんな効果があるのか挙げてみましょう。
♪呼吸が盛んになることで、血流が活発になり、脳に酸素をたくさん送り脳神経細胞の消滅を防ぐことができます。
♪ なじみの曲では、懐かしい当時を思い出したり、自分の人生を振り返ることができ、話そうという意欲が出ます。最近のことは覚えていなくても、子供や思春期の頃のことは、しっかり記憶されているので、感情が揺さぶられて言葉が出やすいのです。
♪ 大きな声で歌えば、普段大きな声を出す機会が少ない人でも、気持ちを発散させることができます。
♪ 歌詞を見ながら歌ったり、歌いながら手足を動かすなど、二つのことを同時に行うことは、脳や全身を鍛えることができます
♪ 初めて楽器を手にした時、好奇心とともに不安感を抱くかと思いますが、挑戦してみる気持ちは、良い刺激となります。
♪ 合奏では、リズムや拍子を意識し、緊張感がもてます。他の人と一緒にできる音楽を経験することで、感動を呼び起こします。
6月は梅雨の季節です。今年はどんな梅雨になる(なっている…)のでしょうか。
うっとうしい季節でもありますが、こんな時こそ、雨にちなんだ懐かしい歌などを歌いながら…自分のこの時期にまつわる出来事を思い出してみるなど…快適に過ごしたいものですね。
山形さくら町病院 須藤紘子