山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
「年齢を重ねると物覚えが悪くなる」と嘆いている方はいないでしょうか?ある程度当たっているかもしれませんが、「年のせいだから」と諦めるのはまだ早い。頭は何歳からでも手入れができるものです。記憶力も鍛えれば上がります。
そう言うと「脳トレ」などが頭に浮かぶかもしれません。しかし、これは、やっていて面白くないのが難点です。わざわざトレーニングしなくても、日常生活の中で記憶力を高める方法はいくらでもあります。身近な記憶力の高め方をお話します。
仕事でも家事でも、最初は何でも目新しく映り、本を読んだり人に聞いたりします。ところが、人生経験を積むと、しだいに横着になってきます。経験で処理できることが増えるからです。夕食のメニューや選択の段取りをいちいち考える人はいません。記憶に頼らなくても、過去の経験に従って、自然と日常が進んでいきます。
ここが落とし穴になります。ものごとに慣れ、スピードよくできるようになるには、経験を積み、考えなくても進むようになる必要があります。しかしそれと同時に、ものを考えたり、覚えたりしようという意欲も知らないうちに失われてしまうのです。
試しにこれを読んだ今日一日を振り返ってみましょう。何をふしぎに思ったり、感心したり、考えたり、覚えたりしたでしょうか?一つもないようなら注意が必要です。頭を使わない生活をしているおそれがあります。
よくよく考えれば、身の回りは疑問だらけです。なぜ空は青いのか。テレビはなぜ写るのか。いまは平成ですがなぜ平成というのか。醤油は油ではないのになぜ油の字が使われているのか。仕事にしても、もっと早くやる方法はないのか。
それを「そんなことはどうでもいい」と思わないで、少し考えてたり調べたりしてみる姿勢が、記憶力を高めてくれます。なんとなく惰性と経験だけで一日を過ごすのではなく、ものごとを好奇心を持って眺めてみましょう。記憶力を高める秘訣は、様々なものに関心をもつことなのです。
山形さくら町病院 荒川 英輔