こころの宅配便 あいあい

からだ 記憶力(2)

ただ目にしたり聞いたりした情報を、自然に頭に入るのを待っている。素朴な方法ですし、人間の記憶の大多数は、このようないつのまにか覚えたことです。自然に覚えられればそれにこしたことはないでしょうし、そのためには、日常の仕事や生活の中で、いろいろなものに好奇心を持つといいのは前回お話したとおりです。

しかし、仕事にしても勉強にしても、ある程度無理やり覚える必要がある場面は、みなさんも経験することでしょう。

こういうときに記憶力の差が出るのも、みなさんが感じていらっしゃるとおりです。いざというとき、記憶力を発揮するにはどうしたらいいか。それには、記憶のルーツをたどるのが参考になります。

記憶するには、そもそも「覚えよう」を思わないと覚えられません。では、覚えるとはどういうことでしょうか。頭に入れたことを、何も見ないで自分で言えることです。

そこで、覚えようと思ったことは、とりあえずその場で何も見ないで暗唱できるかどうかを確かめることが大切です。

その場で覚えなかったら、当然のことながらあとになっても覚えていません。忘れてもいいので、その場で覚えましょう。一度でもその場で覚えておけば、忘れても次回目にしたときに、とても頭に入りやすくなっています。記憶しようと思うことは、自然に頭に入るのを待つのではなく、まずはその場で覚える。忘れたらまた覚えなおす。これの繰り返しが、記憶力を高めてくれます。

その場で覚えるときに気をつけたいのは、必ず何も見ないで自分で言えるかをチェックすることです。本などを見ながらでないと言えないようなら、まだ覚えられていません。本を読んで自然に頭に入るのをただ待つのではなく、覚えるものから目を離して、そらで言ってみる。これを実践すると、みなさんの記憶力は飛躍的に上がると思います。

山形さくら町病院 荒川英輔