山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
あの日以来、「よく眠れない」、「頭痛がする」、「物事に集中できない」、「イライラしやすい」、「何となく調子が悪い」、という人が多いのではないでしょうか。これらは大きなストレスにさらされた時の症状で、誰にでも、とても強い人にも起こりうるものです。
でも、家族や地域の世話をする立場の人、職場で人の上に立つ人、ほかの人の援助をする仕事の人は、こういう症状を「弱さのため」と感じて、一人で悩みがちだと思います。また、被害の少ない場所にいたことや自分が助かったことに強い罪悪感が湧いて辛い思いをする人もいます。「生存者の罪悪感」と呼ばれるもので、『ハリー・ポッター』シリーズにも出てきます。同じ立場の人や経験者と話したり、災害ストレスについてのパンフレットを見て、多くの人達と同じことが起きていると知ったら、少しホっとするでしょう。そして、症状は段々治まるのですが、今の生活に支障が出たり、こじれたりしている時は、医療や保健のサービスに相談する必要があります。
また、意識して休憩をとる、軽い体操や「キューピーさんになる」ストレッチ(両手に力を入れて「パー」にして上に挙げ、思いきり背伸びした姿勢を8秒続けてから、ストンと力を抜く)で体をほぐす、なるべく健康的な食事をとる、5分でも3分でも何かほっとする和める時間を待つ、などセルフケアも大切です。
持病がストレスのために悪化することもあります。なるべく早く適切な診療を受け、常備薬は切らさず続けましょう。「お薬手帳」は、普段も、緊急にかかりつけ以外の所に受診する時にも大変便利で役立つものです。そして、辛い時ほど、アルコールやタバコ等の事態の悪化を招くものは遠ざけましょう。手洗い・消毒・衛星管理に取り組みましょう。「災害からの回復プロセス」を知っておきましょう。
災害からの回復は、いくつかの段降があるプロセスであることを、テレビ番組でも紹介していました。時には行きつ戻りつしながらくぐり抜け、進んでいく道筋で、こんな図で示されます。
ショック期から再建期へ
1.ショック期~英雄期 2.ハネムーン期 3.幻滅期 4.再建期に分けられます。
(季刊Be! 2011年6月号と『災害と心のケア』共にアスクヒューマンケア刊を参考にさせて頂きました。)
山形さくら町病院 市川信子