山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
「現代社会はストレス社会」と言われるように、近年、ストレスによる心身の健康への影響が注目されています。しかし、ストレスとはそもそも何なのでしょう?
「ストレス(stress)」は元々、物理学の言葉です。現在のストレスの考え方を最初に唱えたのはハンス・セリエ博士で、彼はストレスを「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」と考えました。例えば、私たちは気温が高いと汗をかきます。これは気温(暑さ)という刺激によって身体が影響を受け、「汗をかく→体温を下げる」という生体反応が生じるためです。こうした反応は脳の視床下部や副腎皮質などのホルモン分泌や自律神経系の神経伝達活動によって起こり、ホメオスタシス(生体の状態を一定に保つはたらき)を維持することができるとされています。私たちの身体は常に、「なんとか刺激に対応しなければ!」と頑張っているわけですね。
ストレスは、心身に良い影響をもたらす「善玉ストレス」と悪影響を及ぼす「悪玉ストレス」とがありますが、その境には「ストレス反応の程度」があります。例えば、大切な会議で発表する…そんな時は誰もが緊張しますよね。適度な緊張は気持ちにハリを持たせ、集中力を高めます(善玉ストレス)が、それが過剰になりすぎれば、手の震えや落ち着かなさによるミス、「緊張しすぎて腹痛が起こる」といった問題につながることもあります(悪玉ストレス)。
また、ストレスの対処方法にも注意が必要です。例えば「飲酒」。一時的なストレス解消になっても、頻度や量が増えるということがあれば、アルコール依存などの様々な問題を生むこともあります。
そうした状態になる前に、私たちは自分のストレスに気づき「ちょうどいい感じ」にコントロールすることが必要です。
次回は、善玉ストレスを増やすのに有効と言われる対処法について、ご紹介していきたいと思います。
上山病院 臨床心理科 佐藤仁美