山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
これまで
という対処方法をお話ししてきました。
今回は、ストレスのきっかけとなる刺激(ストレッサー)自体を少なくするという、ちょっとステップアップした方法をご紹介します。
私たちに身近なストレッサーと言えば、「対人関係」です。私たちは社会の中で多くの人々と関係し合って生きており、支えられることもあれば摩擦も起きます。「相手に気持ちを伝えたいけど、うまく言えない…」こんな時、自分の気持ちを相手に伝わりやすくする方法として「Iメッセージ」があります。
例えば、友達に約束をすっぽかされたら「文句を言う」「角が立たないように何も言わない」という方もいるでしょう。「Iメッセージ」は「私、楽しみにしてたから悲しかった」のように、“私は…”を主語に自分の感情とそこに至る「理由」を伝えます。
ここでポイントは「相手との関係」。すでに色々なやりとりができる間柄にあればうまくいきやすいのですが、それほど親しくない場合は「気持ちをありのままに伝える」こと自体が誤解を招くこともあります。「でも、一言言わないと気持ちがすっきりしない!」…そんな時は「ソーシャルサポート」を使ってみましょう。ソーシャルサポートは「自分の助けとなる社会的資源」を指し、人間も含みます。気持ちを相手に直接伝えるのが難しいとしても、家族や友人に愚痴を聞いてもらうことで気持ちが安定し、友達との関係が崩れるのも回避できるかもしれません。ストレッサーには「1人で対処できるもの」と「誰かに助けてもらう方が良いもの」があります。誰かに頼ることは決して恥ではありません。
むしろ、誰かのサポートで元気になったら、今度は自分が誰かをサポートするという「良い循環」が、ソーシャルサポートの本当の作用です。
これまでご紹介した内容はあくまで一例です。皆さんのスタイルに合わせてアレンジしながら、活用してみてくださいね。
臨床心理科 佐藤 仁美