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「日焼け」 してしまったら…

日光浴は、古くから、健康のために良いと推奨されてきました。しかし、一九九八年の母子健康手帳から、「日光浴」の文字が消え、「外気浴」に替わったのです。健康のためにわざわぎ紫外線を浴びる必要はなく、紫外線の悪影響を子供の頃から考えましょうという流れになってきました。今では数少なくなった、日光浴の長所の一つとして、ビタミンDが作られることが知られていますが、これも、一日に数分間、顔や手の甲に紫外線を浴びれば十分と言われています。つまり、普通の日常生活だけで十分なのです。

「日焼け」とは何でしょう。医学用語では「日光皮膚炎」といい、太陽によるヤケドを意味します。日光を浴びた後、赤く炎症を起こしている状態をサンバーン(sunburn)、数日後、色素沈着して褐色に落ち着いた状態をサンタン(suntan)と区別されています。紫外線に当たった皮膚は、4、5時間後から赤くなり始め、24時間後が赤さのピークとなり、そのあとは、だんだん赤みは消えていきます。更に3、4日後頃から皮膚の色素細胞がメラニンを増やし、色素沈着を起こします。つまり、褐色になるのです。赤くなりやすい人、ほとんど赤くならず褐色になる人など様々ですが、皮膚を作っている細胞の働きの差によるものです。メラニンを作る働き具合は、遺伝的に決まっており、同じ日本人でもかなりの差があります。この細胞は、数そのものは人種による差はありません。

メラニンは、太陽光からの皮膚への刺激に対抗して紫外線を吸収、錯乱し、紫外線から身体を守ってくれる働きがあります。しかし、メラニンが過剰に生じた部位は、シミの原因になり、皮膚の奥まで届いた紫外線は、深いシワの原因になります。その他、紫外線は、皮膚ガンの発生原因、身体を守る免疫機能の低下の原因など、身体には悪いことのほうが多いのです。今からでも遅くはありません。紫外線対策は、しっかりとしましょう。

山形さくら町病院 高畠有理