こころの宅配便 あいあい

山形県うつ病診療支援モデル事業報告

「山形県うつ病診療支援モデル事業」が平成24年1月から7月末まで実施された。この事業は精神科を持たない病院(みゆき会病院)に精神科の看護師1名がコーディネーターとして週3回出向き、うつ状態はじめ、認知症、統合失調症、神経症などの精神症状を呈する患者様のケアだけでなく、対応面における専門知識をみゆき会病院スタッフと連携しながら提供した。
また、月1回実施される事例検討会を江口院長とともに実質7ヶ月間という長期にわたり実施した。大変興味深い事業である半面、受け入れてもらえるのか?役割を果たせるのか?という不安と職場を週3回留守にするという罪悪感が先行し、これが原因で自分がうつ病になったらどうしましょう?と思いながら開始日の1月6日を迎えた。
この日は記録的な大雪となり、ご近所のみゆき会病院がとても遠く感じたが、スタッフの受け入れも良好で、初日からスムーズに事業へ取り組むことができた。配置病棟は回復期リハビリ病棟で脳卒中はじめ骨折の患者様などリハビリを必要とする患者様で構成された病棟です。どの様な疾患であれリハビリには苦痛を伴い、身体的な苦痛だけでなく精神的な苦痛も将来への不安をはじめ図り得ないものです。このことは多大なストレスの原因となり、器質的な問題と併せ、抑うつや焦燥など精神症状に苦しむ患者様が多い印象を受けました。事業期間内では15名の患者様の紹介を受けてみゆき会病院の医師、看護師、作業療法士、言語療法士、栄養士、MSWと連携し無事に事業を終えることができた。

事業は7月末で終了となりましたが。多くの患者様と出会えたこと、みゆき会病院のスタッフとの連携を含め、私自身も大変実りある充実した時間を送ることができた。一般病棟にもうつ症状をはじめ、精神症状に悩まされている患者様がおり、うつ病診療支援モデル事業が継続される必要性を肌で感じた。継続するには人員の問題はじめ、診療報酬に反映されないなど問題が山積みです。またみゆき会病院だけでなく地域全体へうつ病をはじめ精神疾患の理解が深まるよう病院内外へ発信していければ幸いです。

最後に、今事業において多くの支援をしてくださった関係諸機関の方々、事業とはいえ自分の抜けた穴をサポートし、快く引き受けてくださった職場の皆様に感謝の気持ちを申し上げます。

上山病院 看護部 斯波 一義