こころの宅配便 あいあい

2009秋号No53

認知症へのじょうずな接し方

2009/12/01

認知症とは、脳の病気や障害により、正常な老化を超えた知的機能の低下を示し、社会生活に支障をきたすことを言います。記憶の障害、見当識(時間や場所を正しく認識する能力)の障害、判断力の障害、実行機能(物事の段取りを考えて行動する能力)の障害、自発性や意欲の低下などなど、さまざまな症状が現れてきます。

生活上に変化が生じ、困った行動となってしまうことがあります。そうした時にどのように接したらよいのか、いくつかの例を挙げて考えてみたいと思います。あわてず冷静に観察し、-人一人のそれまでの習慣や性格に配慮しながら、対応を考え実行しましょう。

「徘徊」

過去と現在を混同して「今の状況」を適切にとらえられず「(昔の)場所探し」をしている場合も多いようです。本人には理由があるわけですから、無理に引きとめられると興奮することもあります。理由がわかれば、それに応じた対応を考えてみましょう。

話題を変えたりお茶に誘ったりして気分を変えること一つの方法です。一緒に出かけ近所を一回りしてみるのも効果があります。また、徘徊が目立つ時は、近所の人や交番、よく行く商店などに状況を知らせておく、衣服に名前や連結先を付けておくなども大切です。

「妄想」

物盗られ妄想も現れやすく、身近な介護者や家族を不愉快にします。大切にしている通帳や財布、眼鏡やアクセサリーなどを置いた場所を思い出せなかったり、忘れたことを自覚できないために、誰かに盗まれたと疑う訳です。

否定したり説得しようとするとかえって不信の念を強めます。「物がない」という事実を受け止めて一緒に探します。一緒に探し、本人が見つけられるように誘導しましょう。

普段から本人の行動を観察し、大切な物をしまう場所や立ち寄る場所を知っていると、探す場所の検討もつけやすく介護者のせいにされずに済むこともあります。

「興奮・攻撃的になる」

何らかの理由があり、不快の表現でもあるわけです。原因によって対応も異なりますが、攻撃的な行動は、抑えつけるよりも、攻撃的になるそのエネルギーを他の方向に向けるように援助するとよいでしょう。

原因をさぐって取り除くあるいは改善することができればそれでよいのですが、原因が思い当たらない時や介護者の手に負えない時は、精神科に相談しましょう。場合によっては薬での治療が必要です。

「さまざまな拒否」

介護に対して拒否的になっている時は、介護を受ける側と介護する側の思いに食い違いがあることを考えましょう。思いがかなうと拒否はなくなっていきます。

拒食(食事を食べない)では、心身の状態をよく観察します。義歯が合わない、口内炎や舌の荒れ、歯肉炎、あるいは食べることを忘れてしまった、他のことに心を奪われている、精神的ストレス、うつ状態、発熱や便秘などさまざまな原因によることが多いのです。

食事の形態を工夫する、介助の方法を変える(時間をずらす、介助する人を変える、一時的に高カロリー食にするなど)を試みましょう。

拒食が続くと脱水になったり栄養状態が悪くなり体力の低下につながります。いつもと様子が違ったり、拒食の原因がはっきりしない時は病院を受診しましょう。

入浴拒否も理由を探ってみましょう。風呂は夜入るものだと思っている人には「温泉に入りましょう」とか、脱いだ服がなくなると心配な人には、かごやビニール袋を準備し見える所に置きます。誘う人が変わるのも効果があります。

病院の受診拒否もみられます。病気だと自覚がない人に受診を勧めるのは難しいことですが、何か理由を付け納得してもらいます。かかりつけ医から「専門医で検査を受けるように」と紹介状を持たせてもらう、身近な人の受診に合わせて誘う、風邪やけがでの受診など、上手に利用したいものです。早めの受診は、安心して生活することにつながり、病気の予防にも役立つことなどを伝えてみましょう。

認知症デイケアセンターあららぎの里 看護師 庄司 ミサヲ

わたしの作品 クレイアート(樹脂粘土細工)

2009/12/01

私は、作業療法で粘土を使って、スイーツデコレーションを作っています。最初はかわいくって、作ってみたいと思って作り始めました。粘土がすぐかんそうしてしまったり色をつけるのに苦戦したり四苦八苦しながらのスタートでした。でも、だんだん形になって出来上っていくのが目に見えてくるとうれしくなって、今度はこんなのが作りたいとか思えるようになりました。作業療法をするのが楽しみになっています。

最初のころは一人で作業していたけれど、今は何人かの人で一緒にスイーツデコレーションを作っています。一人より話すせいか、一人でやっている時よりアイデアが出るようになってきました。作っている作品は本当のドーナツやクッキーみたいで、作っている感じもお菓子を作っているようで、粘土だとわかっているのにおいしいそうと感じるのが不思議です。見ていると甘い香りがしてきそうです。最近は、花、バラやくまなどを作ったりして、組み合わせも増えてはなやかな物が出来てきました。

(ペンネーム・いちご)

 

今回ご紹介するのは、最近一般的にも流行をみせつつあるクレイアートです。粘土でスウィーツやキャラクターなど自分の好きな形を作り、金具などをつけアクセサリーにしたりフォトフレームのデコレーションにしたり、といろいろできます。生活上で使える物が直接作れるのでオリジナルグッズ作りには最適かと思います。粘土という材質は、形が自由になる反面、定まりにくいところもあり、難しく感じるかもしれませんが、思い通りの形になった時の嬉しさは格別です。

当院の作業療法で利用するのは初めてでしたが、いちごさんが先駆者となって取り組んでいます。いちごさんのアレンジで色々な作品を見せていただきますが、見ているだけでも楽しさが伝わります。今では何人かそれをお手本にチャレンジしている方もいて、輪が広がっています。

(作業療法士 熊谷史江)

あららぎの里記念講演会「認知症の症状と対応」

2009/12/01

上山病院認知症デイケアセンターあららぎの里は、開所10周年を迎え、8月30日(日)記念講演と認知症の相談会を開催しました。当日は、衆議院選挙投票日ではありましたが、市民、民生児童委員やケアマネージャーの皆さまに参加いただきました。

講演に先立ら、小倉大黒舞保存会の皆さまには、小倉大黒舞を披露いただきました。ありがとうございました。

「認知症の治療と対応について」と題した上山病院診療科長村岡義明医師の講演では、皆さま熱心に聞き入っていらっしゃいました。

今後も、皆さまのお役に立てるような企画をしていきたいと考えています。

あららぎの里・看護師 上妻孝雄

「日焼け」してしまったら…

2009/12/01

海水浴、スキーなどを楽しむとき、サンスクリーン剤をつけていても、完璧な紫外線防止は難しいものです。思いのほか強く焼けてしまった、ということもよくあります。日焼けを軽く考えていると、知らぬ間に皮膚の老化が想像以上に進んでしまいます。浴びてしまった紫外線は、後悔しても始まりませんので、日焼けしてしまった後こそ、スキンケアは徹底しましょう。

皮膚が赤くなったりヒリヒリしているようであれば、それは、炎症を起こしているということです。直ちに炎症を鎮めることが必要です。最も簡単で基本的なこと、それは、ヤケドと同様、「冷やす」ことです。冷たいタオルをあてる、流水をかける、クールパックをするなどして、とにかく皮膚を冷やします。カーマインローションや、爽快感のあるローションを使うのも効果的ですが皮膚が敏感になっています。使い慣れたものを使いましょう。

その次に必要なこと、それは、皮膚の「安静」です。日焼けで痛んだ皮膚には、普段使っている化粧品でも、強い刺激になることがあります。慌てて色々な化粧品をつけたりすると、トラブルを大きくしがちです。化粧水なども一時的に休みです。勿論ファンデーションもです。この時期は、何もつけずに炎症が治まるのを待つのが一番です。

火照りが治まって、皮膚の状態が落ち着いたら、本格的なケアを始めましょう。日焼けした皮膚は乾燥しているので、保湿効果の高い化粧水などをつけるとよいでしょう。

ひどい日焼けをしてしまうと、皮膚症状だけでなく、頭痛、発熱といった、全身症状を呈することもあります。皮膚科医の診察を受け、消炎剤を内服したり、外用剤として皮膚に外用すると、症状が軽く済むでしょう。水ぶくれ(水疱)が出来てしまったら、自分では破かずに医師に任せることが大切です。

山形さくら町病院 高畠 有理

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