山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
昔の人は、よく歩きました。この「歩くこと」により足の筋肉が鍛えられます。足の裏への刺激は、中枢神経への刺激となり、血液の循環を良くし、ホルモンの分泌を促します。体のバランスも整えられ、肉体は言うに及ばず脳の老化も防ぐことができるとも言われます。
歩くという運動は、腹筋を鍛え、体全体の70%の骨や筋肉を鍛えるという天才的なマッサージ師にもなるのです。
足には、内臓諸器官の病気を調整する経穴(ツボ)が点在しており、体には、ツボを結んで全身を巡っている「経絡」という目に見えないルートが走っています。
また、足裏の感覚はとてもデリケートなのです。ご存じの方も多いと思いますが、「反射区」が足にあることが分かっており、さまざまな施術が行われています。
しかし、現代は、歩くことが少なくなっています。そこで、簡単にできる足への刺激を紹介します。
30回くらい、片足ずつ行います。足の組織がゆるみ、自律神経を整え、気血の流れが良<なります。
相手がある時には、膝に相手の足を乗せてやってあげたり、やってもらうのが、楽で効果的です。
現在の機能の維持と向上を目指し、できることから、毎日行ってみてはいかがでしょうか。
上山病院 看護師 斉藤清子
上山病院では、外来や各病棟に投書箱を設置して、皆様のご意見をお聞かせいただいております。投書は毎月対応策を検討し「お答え」は提示してお知らせしております。
昨年7月から12月までの投書についてご報告いたします。
この他に、「お答え」による回答ができないような治療や個人的な事へのご要望などが多く、可能な限り関係職員に報告し状況の把握と対応に努めました。
今後とも、上山病院理念に基づいた「個人を尊重する医療の実践」を守り、安心してご利用いただける病院運営に努めます。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
上山病院 アンケート委員会・看護副部長 遠藤和則
作業療法でネット手芸をされている方を代表してお二人にお聞きしました。
①作り始めたきっかけ ②今までのネット手芸作品の経歴 ③楽しいところ・うまくできたところ ④難しいところ ⑤その他
今回紹介するのは『ネット手芸』です。名前のとおり、ネットに紐を通していく工程が主の作業です。初めは「難しいべ~」という方が多いですが、基本的に繰り返しの作業なので、慣れてくるとどんどん進められる方がほとんどです。列ごとに糸の色を変えたり、模様を変えてレベルアップしていくこともできます。
糸の種類や素材、模様(編み方)によって出来上がりが大きく変わってきますので、同じ形のものを作っても変化を楽しめ、年齢・性別を問わず、多くの方々に人気です。
バック・小物入れ・状差し・ティッシュカバー・眼鏡ケース・たばこケース等々・・・様々な作品が作れます。「大変だ」と言いつつも、完成すると作った人も周りの人も笑顔になります。主に使われるメタリックヤーン糸という糸はキラキラしているので見栄えも良く、プレゼントされる方も多いようです。
上山病院 作業療法土 菅井千絵
先日、三笠宮寛仁殿下が再入院されたと新聞等で報道されました。一昨年に自らアルコール依存症者(アルコホリック)であることを公表され、仙合での御公務に宮内庁病院から「外出」で臨まれました。「アルコール依存症の三笠宮寛仁です」が、名誉総裁あいさつの第一声だったそうです。
アルコール依存症は、さまざまな依存症・嗜癖(アディクション)の代表です。日本中、どこでも簡単に手に入り、時には望まない人にも強要(アルコールハラスメント、略してアルハラといいます)されることもある、アルコールという薬物(ドラッグ)が引き起こす病気だけに、かかる人も多く、日本中で220万~240万人と言われています。
本人の寿命を、平均52歳まで縮め、人間関係を壊し、周りの人もストレスで健康を損ないます。そして、多くの働き盛りの人をむしばんで、社会全体の大きな損失となっています。10年以上前の計算で損失の額は、年間6兆6千万円、酒税収入の3倍以上と言われています。でも、こんな話は病院に来て初めて知った、という人がほとんどなのです。
ここに、依存症という病気の怖いところ、『否認の病気』という性質が現れていると思います。
大きな問題があるのに、それを無意識のうちに、見ないようにする、なかったことにしようとする、してしまうのです。他の人からははっきり見える問題が、その問題にどっぷりはまってしまった本人には、わからなくなります。
うすうす問題に気づいていても、「自分一人でやめられる」(実際は、依存症からの回復には、適切な媛肋が必要です)、「大したことじゃない」(本人の命、周りの人、社会全体にも大きな危検なのに)など、その問題を小さなものだと無理に言い張ったり、何か他のもののせいにしようとしたり、というのが、心理学でいう『否認』なのです。
そして「アルコール依存症者の○○です」と声にだして、他の人に言うことは、『否認』を打ち破る、依存症と闘うということなのです。
これまで、社会全体でも目をそむけられてきたアルコール問題・依存症問題に、最近少しずつ光が当てられるようになってきました。
たとえば、飲酒運転対策です。飲酒運転を「大目に見る」、交通事故の3割にアルコールが関係していた、という飲酒運転の影響に「目をそむける」のが『否認』です。また、飲酒運転に気づいても止めず、運転前に飲酒してしまう状態をかばって、問題を助長し、結局その人を助けることにならないのが『イネイブリング』という、依存症という病気のカラクリです。このカラクリを打ら破る対策で、死亡事故が減りました。依存症にかかった人達の回復のきっかけにもなって欲しいと思います。
また、国をあげての自殺対策でも、アルコール問題、依存症との関係に目が向けられてきました。アルコ一ルに酔った状態や、依存症のために追いつめられて自殺を図る人がたくさんいることに気づき、『イネイブリング』ではなく、回復援助が広がることを願っています。
山形さくら町病院 市川 信子