こころの宅配便 あいあい

2010秋号No57

からだ 不眠について

2010/11/20

現在、成人の5人に1人が睡眠に関する問題を抱えていると言われています。
不眠は日頃、外来で接することが最も多い症状のひとつです。
不眠の種類については様々なものがあり、現在使われている国際分類では細部までを含めると80項目以上になります。しかし、日常的に見られるのは、そのうちのせいぜい20から30項目くらいと思います。
最も多くみられるのが精神生理性不眠または神経質性不眠と言われるものです。典型的には寝つきの悪さや夜間に何度も目が覚めるといった症状で、中年期以降の女性に多く見られます。神経質、潔癖、健康に対する過度の不安などの特徴を持っている方が多いようです。不眠の弊害を過度に心配して、快適に眠るための工夫や努力をするため、逆に神経が高ぶってますます眠れなくなるという悪循環に陥っています。このような場合、正しい睡眠の知識や睡眠習慣について話し合う必要があります。場合によっては少量の睡眠薬も処方しますが、睡眠薬に対する恐怖感をもっておられる方も多くおられます。おそらくは昔によく使われた睡眠薬(バルビツール酸系剤)に対するイメージによるものと思われます。「睡眠薬を飲み始めると止められなくなり、服用量が増える。体にも悪い」といったものです。しかし現在使用される睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)には、そのような心配はほとんどありません。正しく使用すれば、依存性や体への負担という点では「酒を飲んで寝るよりもはるかに安全」と言えます。
不眠を主訴に来院される方であっても、うつ病や不安障害などと診断されることがあります。不眠はあらゆる精神疾患の症状として出現し得るものですし、脳器質性疾患や様々な身体疾患も合併することがあります。このような場合、睡眠薬のみの安易な使用はこれら疾患の悪化や遷延化を招くおそれがあります。先ずは正しい診断を受けることが大事と考えます。

上山病院 佐藤 晋一

わたしの作品 刺し子

2010/11/20

「作業療法で刺し子をやっていると、体も心もすっきりして気持ち良くなり、体も良くなり、とても食べることもうまく楽しく、毎日が楽しくなりました。裁縫が好きでボケないようにやっています。作業療法に行くのが楽しみです」(S子)

裁縫は遥か昔から人々の生活に深くかかわっています。幼少時から生活技能の一つとして慣れ親しんだ人も多く、当院の作業療法でも人気の作業です。もちろん「裁縫はあまり経験がなくて…」という方でも、縫い方や糸の配色をちょっと工夫するだけで、思った以上にきれいな作品が出来上がります。今回紹介して頂いた方の言うとおり、図面や構成を考えながら縫うことが、脳にも良い刺激になります。細かい作業の繰り返しで忍耐力も必要ですが、それらが紡ぎ合わさることで完成した時の達成感はひとしおです。また、生地を縫い合わせて形作る他にもお好みの図柄を刺繍することで、より素敵に愛着の涌くものになるのではないでしょうか?
衣類、クッション、ぬいぐるみ、今はやりのエコバッグなどなど…実生活から趣味の領域まで、ライフスタイルに合わせた様々な物を作り出すことができるのが、裁縫の大きな魅力だと思います。

作業療法士 高堰 悟

上山病院 外来診療医 紹介

2010/11/20

峯田 武興(みねた たけおき)

■履歴

昭和33年山形県立東高等学校を卒業、同年東北大学医学部入学し昭和39年卒業。卒業後1年間を山形県立中央病院でインターンを行い、昭和40年医師免許取得。東北大学大学院医学研究科(外科学専攻)入学。昭和44年大学院終了し医学博士号取得。昭和50年山形市立病院済生館に赴任、平成13年済生館館長となり、平成17年定年退職。現在、医療法人二本松会上山病院に勤務。

■スポーツが大好きです。

私の父親が職業軍人であり中国戦線で戦死したために、母親の実家に身を寄せました。幼児期の写真には、身体虚弱なのか枕元には酸素吸入器が置かれている物ばかりです。医師の祖父と叔父に助けられ成長したのですが、小学校一年生の夏に全く眼が見えなくなり、やっと二年生に進級しましたが、殆ど字が読めなくて学校では問題児扱いされていた記憶があります。
三年生の担任佐竹好三先生の「ビルマの竪琴」などの名著の読み聞かせが効いたのか少しずつ学校に行く楽しみが増えて来ました。勉強の成績は悪かったのですが、スポーツが好きで好きで…でも、サッカーは団体競技なので全国大会には行けませんでした。歳をとりましてから、年齢ピックサッカー部門に10年連続山形代表で出場しましたが、上手なプレーだから、というよりは、人数が揃わないためだったのかと…。昭和37年インカレで明治大学サッカー部と対戦、東京・メキシコオリンピック代表の杉山進氏に振り回されて、悔しい思いもしました。後に年輪ピックで彼と話す場ができて昔話の花を咲かせ、今も交友を続けています。歳をとっても彼はうまい。
他の趣味は、スキー、鮎の友釣り、ゴルフなど。いずれも、上級者の範疇からは程遠いものがあります。乱読は趣味なのでしょうか、ブックスタートは体の弱かった小学校低学年からで、本があればおとなしい子どものようでした。
私は外科医師で、専門は免疫関係でしたので、腎臓移植を数多く経験してきました。大学を離れて地方病院へ赴任しますと、大学のように専門以外の疾病は診ないという事では日常の診療には通じませんので、消化器外科を中心に、乳がん、甲状腺がん、肺がん、胆石症など、色々な疾患の手術をしてまいりました。
現在は上山病院で、乳腺と甲状腺の病気への対応をしておりますが、上山病院の設備で十分に対応できることもありますし、手術の要否診断、術後継診なども可能となります。勿論、来院された患者さんには、乳がんや甲状腺がんなどの疾患のみならず、高血圧や痛風などの治療もしております。
病院という所は、地域に溶け込むことを大切に考えなければなりません。地域に溶け込めるような診療と治療を提供いたしたいものです。

平成22年度精神科病院協会「学術教育研究会 看護部門」を終えて

2010/11/20

昨年春、突然、看護部対象の全国研修会を山形でと言う話が舞い込みました。開催はさくらんぼの季節6月24~25日、会場は山形市内のホテルと決まりました。
研修テーマは「多様化する精神科医療 ~期待される精神科看護~」とし、内容は、全国的にも問題となっている自殺予防に関するものに焦点を絞り講演とシンポジウム、そして「認知症」「医療観察法」「精神化病院の現状と今後のあり方」などです。県内外から400名近くが参加、研修内容には高い評価をいただきました。
懇親会は、県立保健医療大学サークルの花笠踊り披露、山形ならではのさくらんぼ、芋煮や玉こんにゃく、だし、地酒コーナーと大変好評でした。
アンケートに「山形の暖かいもてなしを感じました」とあり、とても安心しました。県内の協会加盟病院の皆さんの力があってこその成功だったと思います。

上山病院 看護部長 早坂 俊子

禁煙が重要

2010/11/20

今年の秋にもタバコは値上りします。それを契機に止めたいと思う方が多いようです。値上りが一番効果的なのは、中高校生などがタバコに手を出せにくくなることです。タバコの影響が一番大きいのは年齢が低い時に暴露されることで、そのつけが大きくなってから問題になります。
喫煙が今日ほど問題にされたのは、疫学的な解析により多くの疫病と関係が明らかにされたことが理由かと思われます。もし、喫煙が個人的なことに留まるのであれば自己責任で済みます。肺がんになることも慢性閉塞性肺疾患(COPD)にて在宅酸素をすることも理解して覚悟して吸うことであれば、問題にならなかったと思います。これだけ問題になったのは、受動喫煙です。環境の機密性が増してくる中で、喫煙する人よりも暴露される(さらされる)周りの人に何倍もの化学物質が影響します。これにより子供の喘息が増えたり、喫煙しないひとが肺がんになり易くなることです。寝タバコによる火災件数も馬鹿になりません。

禁煙で若返り?!

国家的に考えますと、タバコ税による収益よりもタバコによると思われる疾病による医療費のほうが高くつきます。喫煙の害は単に発ガン性の問題だけでなく、生活習慣病のすべてに関して関係があると思います。禁煙することで糖尿病がよくなり、高血圧、動脈硬化も防げます。心筋梗塞、脳梗塞も確実に減らせます。禁煙するだけで、服薬する薬も減らせます。今後日本で死亡率が上昇することが確実な慢性閉塞性肺疾患(COPD)にならないで済みます。意外と知られていないことは歯の問題です。歯も歯肉もぼろぼろになり歯槽膿漏の大きな原因でもあります。両親が喫煙する家庭の子供の口を覗いて見てください。歯肉は黒ずんでいることがあります。妊婦さんの影響は大です。流産の可能性も高くなり、早産も多くなりさらに生まれた子供の成長に大きく影響します。知的な面での影響もでます。喫煙は女性の美容にとっても大敵です。高価な美顔のために投資するよりも禁煙するだけで皮膚が若返ります。試してみてください。喫煙は老化を促進します。

ニコチン依存症

タバコをやめられない人は病気です。ニコチン依存症という立派な病気です。患者さんに一酸化炭素を測定し、一日の本数と吸った年月で基準を超えたら依存があると判定されますと保険が適応されます。ニコチンパッチの貼り薬とチャンピックスという内服できる錠剤が利用できます。昔は禁煙したくても楽には止められませんでした。今は楽に禁煙ができるようになりました。1年後に禁煙を維持できている成功率は60%ぐらいです。タバコに投資した費用は馬鹿になりませんし、タバコにより病気になって治療が必要になれば損失は計り知れません。COPDという病気は肺の構造が破壊されます。蜂の巣のようになることが多いです。禁煙する時期はどの年齢でもプラスに働きます。
たばこの効用を一服すると気持ちが落ち着き頭がすっきりするから吸うと愛煙家が言いますが、たばこを吸った後は実際の仕事の能力は確実に落ちています。たばこも健康被害がなくて楽しめるのであればよいのですが、分煙が認められるうちはよいですがそのうち禁煙法のような法律ができて取り締まられる運命になるかもしれません。私もクリニックでは禁煙指導に力を入れています。

べにばな内科クリニック院長 齋藤 博

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