山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
このたびの東日本大震災により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さま、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
震災発生による被害の甚大さに大変胸が痛む思いがする一方で、避難所で被災された方々が支え合っている姿や被災地復旧に向けて努力しておられる様子を見て、逆に私たちが勇気づけられております。一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
法人の外来診療体制につきましては、通常通り診療を行っております。私たちも引き続き医療支援を続けてまいります。
近年、日本でも子どもの心の問題が注目されるようになっています。精神科を受診する子どもが、以前に比べると増えてきている印象があります。
しかし、子どもは大人を小型にした存在というだけではありません。それぞれの年代において、症状の現れ方はさまざまです。
精神科では、小学生から中学、高校生の年代を扱うことが多いのですが、小学生の年代とそれ以降のいわゆる思春期では身体や心の発達の違いがあり、それに伴って、症状にも違いがあります。
小学生、特に10歳頃までは子どもたちどうしの遊びが活発になるとはいえ、まだまだ、心身ともに親に依存している時期です。
自分の体験を心の中で整理して、言葉で表現する力は未熟です。
精神症状は、問題行動や身体症状となって出やすいのです。
たとえば、目をぱちぱちする、おねしょをする、身体の病気がないのに頭痛、腹痛を訴える、咳が止まらなかったり熱が出る、自分の髪の毛を抜く、元気がなくなって遊べなくなった、おちつきがない、しょっちゅう手を洗っている、おかあさんから離れるのを不安がるようになったなど多様です。
自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害などの発達の障害が問題になって、精神科を受診するのも小学生年代くらいからが多いようです。
幼稚園や保育園では周りもゆとりを持って接することができても、学校となると状況が違ってくるからだと思われます。
発達障害は長く親の育て方がよくないせいだと言われていましたが、それは誤解です。その子の生まれつきの個性という言い方もできるものです。
学校で不適応を起こしている発達障害の子どもには、治療だけではなく、周囲の接し方、関わり方を相談していく必要があります。
子どもは、小学校高学年くらいから思春期といわれる年代に入ってきます。第二次性徴が始まり、女の子のほうが少し早く大人びてくるようです。女の子は自分の身体の変化に、男の子は自分の中の性の衝動にとまどいます。身体の変化と共に心も変化していきます。親から距離を取るようになり、自分自身を強く意識するようになります。他人から自分がどういう風に見られているかを気にするようになります。
親から見ると、急に無口になったり、常に苛々して見えたりします。自分の変化を受け入れ、どういう大人になるかということを模索していく時期なのです。
この過程が受け入れられないと思春期特有の不安や問題行動を起こすことがあります。
対人的緊張が強すぎて人の中に入れなくなったり、太りたくないと過度のダイエットに走って拒食症や食べては吐くを繰り返す過食症という状態になったり、親に対して暴力的になったりする子どももいます。
不登校は小学生にも見られますが、中学生になると出現率が高くなります。不登校が長期化してひきこもりと言われる状態になることもあります。
不登校にしろ、ひきこもりにしろ、それだけでは病気とは言えませんが、精神障害が隠れている場合があるので注意が必要です。
中学生くらいからは、統合失調症やうつ病などの病気が大人と同様の症状で発症することもあります。
ただ、特に中学生年代の子どもたちは、高校生以上の子どもに比べて、身体は大人と同じくらい大きくなっていても、まだまだ自分の内面の症状を言葉にすることに長けていません。この年代の子どもたちが難しいと言われる所以だと思います。
上山病院 渡部由里
山形さくら町病院では、外来や各病棟に投書箱を設置し、皆さまのご意見をお聞かせいただいております。投書は毎年検討し、「みなさまの声」として掲示してお知らせしております。
昨年7月から12月までの「みなさまの声」をご報告いたします。
今後とも、安心してご利用いただける病院運営に努めます。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
山形さくら町病院 診療サービス会議・看護副部長 秋葉 智賀
私は作業療法で毛糸を使ってポンポン玉を作っています。
OT室に飾ってある作品を見てかわいいと思い作り始めました。ポンポン玉というのはポンポンメーカーに毛糸を巻き付け、はさみで切り、巻きつけた中心を結び、手で形を整えながらはみ出した毛糸をカットしていきます。
例えば、イチゴなどは三角形になるようにカットしていく部分が多いので大変でした。
動物は目や鼻などフェルトを切ってボンドで貼り付けます。フェルトの切り方や貼り方によって表情が変わってくるところがポンポン玉のおもしろいところです。
最初は簡単なひよこから始めて今はうさぎやパンダなどがつくれるようになりました。今度は毛糸の種類を変えてテディベアにも挑戦してみたいと思います。(Sさん)
ポンポン手芸は、毛糸を専用の道具(ポンポンメーカー)にくるくると巻きつけるだけでお馴染みのポンポン玉が作れ、そのポンポン玉をつなぎ合わせることでいろんな形にできます。
柔らかい毛糸を使うため肌触りが良く失敗も目立ちにくいため、子供から大人まで幅広い年齢層に適した作業ではないでしょうか。
ポンポン玉は使用する毛糸の種類や素材を変えたり、糸を巻く回数を調整して模様を作ることで幅広い作品が作れます。
ぬいぐるみやマスコット、ポンポンをつなぎあわせてマフラーにしてみたり、アクセサリー、のれん等、その方のアレンジ次第で生活上で使えるものを作ることができます。
ふわふわ可愛いポンポン手芸、見ているだけでもつい笑顔になってしまいます。
作業療法士 神保 祐美子
ただ目にしたり聞いたりした情報を、自然に頭に入るのを待っている。素朴な方法ですし、人間の記憶の大多数は、このようないつのまにか覚えたことです。自然に覚えられればそれにこしたことはないでしょうし、そのためには、日常の仕事や生活の中で、いろいろなものに好奇心を持つといいのは前回お話したとおりです。
しかし、仕事にしても勉強にしても、ある程度無理やり覚える必要がある場面は、みなさんも経験することでしょう。
こういうときに記憶力の差が出るのも、みなさんが感じていらっしゃるとおりです。いざというとき、記憶力を発揮するにはどうしたらいいか。それには、記憶のルーツをたどるのが参考になります。
記憶するには、そもそも「覚えよう」を思わないと覚えられません。では、覚えるとはどういうことでしょうか。頭に入れたことを、何も見ないで自分で言えることです。
そこで、覚えようと思ったことは、とりあえずその場で何も見ないで暗唱できるかどうかを確かめることが大切です。
その場で覚えなかったら、当然のことながらあとになっても覚えていません。忘れてもいいので、その場で覚えましょう。一度でもその場で覚えておけば、忘れても次回目にしたときに、とても頭に入りやすくなっています。記憶しようと思うことは、自然に頭に入るのを待つのではなく、まずはその場で覚える。忘れたらまた覚えなおす。これの繰り返しが、記憶力を高めてくれます。
その場で覚えるときに気をつけたいのは、必ず何も見ないで自分で言えるかをチェックすることです。本などを見ながらでないと言えないようなら、まだ覚えられていません。本を読んで自然に頭に入るのをただ待つのではなく、覚えるものから目を離して、そらで言ってみる。これを実践すると、みなさんの記憶力は飛躍的に上がると思います。
山形さくら町病院 荒川英輔