山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
若いころは一日で覚えられたのに、今は一度覚えても、いつの間にか忘れてしまうとお嘆きの方がいると思います。これは恐れる必要はありません。脳のメカニズムからすると当然のことです。脳は、何も刺激が来ないと一日で半分以上の情報を忘れます。全部覚えていたら、そのほうが大変です。いやな思い出や記憶を忘れられなかったとしたら、どうでしょうか。かなりストレスを感じてしまいます。人によってはそれで精神の不調をきたしてしまうかもしれません。忘れるのも、脳の大切な役割の一つです。
そのぶん、覚えようと思っていることは、何回も覚えなおすことが大事です。一度覚えて放置しておくと、しだいに脳が自然に忘れていってしまいます。それに対抗するには、一度覚えたことを忘れても、また覚えなおす習慣を作ることです。そうすることで、しっかりとした記憶が作られるのです。ちょっと難しいことを言うと、瞬間的に覚えたことと、何回か覚えなおして、自分の体で覚えたことは、記憶の種類が違います。たとえば電話番号などは聞いていてもよく忘れてしまいます。しかし、「君が代」はそれよりも長いですが、覚えてしまえば忘れないし、いざというときぱっとでてきます。これは、脳の違う場所に知識が蓄えられているからです。何回か覚えなおしたことは、知識が脳の別の場所に移り、より強い記憶になるのです。一度強い記憶になってしまえば、なかなか忘れません。したがって、忘れることはぜんぜんかまいません。問題なのは忘れた後です。忘れてもまた覚える。これを何度が繰り返すことで、強い記憶が増えていきます。
覚えなおすことは、ストレスをかるくするのにも役立ちます。いやなことをわざと忘れるのは難しいです。そのぶん、最近のいい出来事や、うれしかったことなどを頭の中で何回も再生してみましょう。いい記憶が強い記憶になり、心の支えになると思います。プレッシャーやストレスに負けない体質を作るのに、非常に役立ちます。
10月23日(日)午前10時から病院祭日曜模擬店を開催いたします。
地域の皆様はもちろんのこと、たくさんの方々のおいでをお待ちいたしております。
上山病院で山形市内方面のシャトルバス運行を始めました。運行コースや停車場、時刻表はホームページや上山病院事務受付にてご案内しております。1日3便で無料ですので、診察やデイケア利用時などぜひご利用ください。
上山病院では、外来や各病棟その他数ヶ所に投書箱を設置して、ご利用なさる皆様のご意見をお聞かせいただいております。いただいた当初については毎月内容を検討し「お答え」として刑事してお知らせしております。
今年1月から6月までの当初についてご報告いたします。
その他には、「文書」での回答ができかねる治療や個人的なご要望などが多いのですが、可能な限り関係職員に報告し、状況の把握や対応に努めました。
今後とも、上山病院の理念に基づいた「個人を尊重する医療の実践」を守り、安心してご利用いただける病院運営に努めて参りますので皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
上山病院 アンケート委員会・看護副部長 遠藤 和則
外来ラウンジコーナーに自動血圧測定器「診之助」を設置しました。腕を通し、ボタンを押すと音声案内があり、測定結果がレシートで出てきます。
地域の方々にもご利用いただけるよう、西出入り口の近くに設置しています。
お買い物のついでや散歩中など、いつでもお気軽にご利用ください。
運用時間:7時30分~18時(日曜、祝日除く)無料。
大槌町は北上山地から太平洋に開けた大槌湾へと注ぐ大槌川、小槌川が形成する小さな沖積平野の漁業の町です。井上ひさしの小説「吉里吉里人」の舞台、吉里吉里地区は大槌町の一部ですし、大槌湾にはテレビ人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルになった小さな蓬蓬菜島が浮かんでいます。きっとのどかな漁業の町だったのでしょう。そんな町を3月11日午後2時46分に東日本大震災が襲いました。そして10メートルをはるかに越える大津波とそれに生じた火災にで、この町は壊滅的な被害を受けてしまいました。町長さんもこの大津波で亡くなったことは、テレビなどで報道されていました。私はテレビの画面に映る大槌町の惨状を驚きと、どこか別の世界の出来事のように感じていました。
山形県心のケアチームの一員として釜石市(釜石保健所)を拠点に大槌町に行く。このことが決定されてからも、まだテレビの映像が実際に、目の前に現れることがあるのだろうか。そんな気持ちで準備を進めました。支援日程は上山病院7月8日~10日、山形さくら町病院7月16日~19日(1班)、7月19日~22日(2班)と決まりました。
釜石市に入り、町の中心部は何事もなかったかのように商店があり、一見普通の生活が営まれております。釜石駅を過ぎたところから町が一変し、建物の外枠がかろうじて残っているだけで、いたるところ瓦礫が積んである状態でした。
釜石保険上で前ケアチームから避難場所などを含めた引き継ぎがあり、大槌町の吉里吉里体育館、大徳院、赤浜小学校、安渡小学校、中東公民館を中心に医療支援活動を展開しました。大槌町の支援場所は、大津波に流されつくされ、ほぼ全壊した赤茶に焦げた町並みでした。支援活動内容は他県医療チームと連携しながら前述の避難所を巡回して、診察や血圧測定、健康相談などを行います。巡回診察すると血圧の高い方、環境変化から不眠に悩まされている方、アルコール問題を抱えているがご本人の問題意識が少ない方、服薬中断の心配がある統合失調症の単身者の方、適正な服薬指導が必要とされる方、また、健康に心配のある方々の相談に耳を傾け、少しでも不安やストレスが軽減されればとの思いで支援活動を行いました。支援3日目には避難所巡回中、地鳴りがしたと同時に余震に見舞われる、津波警報が発令され3時間の足止めも体験しました。
私たちの支援期間は、ちょうど避難所から仮設住宅への移動時期と重なりました。そのためもあってか診察予定日二会えないことも多々あり、支援できずに残念な思いもしました。私たちは日常の診療で、病院にいれば患者さまが来てくれるシステムに慣れています。今回の支援と通して、本来のそのシステムが不自然であることを感じさせられました。今後、仮説住宅に移された被災者方の心のケアは、地道な活動になることでしょう。PTSD、アルコール問題、子どもの心のケアや必死で住民を支える行政職員の疲弊など解決すべき問題はまだまだたくさんあります。
最後に高台から見た釜石湾の穏やかな海が、多くの命を奪った凶器に変わった瞬間をどうしても想像できませんでした。最近の報道では、大槌町の町長選挙も行われたようです。一日も早い被災地の復興を願い筆を書きます。
上山病院 江口拓也