山形さくら町病院/かみのやま病院 広報誌
2階は退院した患者さんの社会生活を援助するためのグループホーム(定員10名)になります。朝・夕は世話人を配置し、食事を中心としたお世話をしながら、入居者の社会生活を支援していきます。
障がい者の自立、社会生活を支援するために重要な施設の開所になります。
平成24年春、障害福祉サービス事業として二本松会が運営にあたる、作業所(就労継続支援B型)及び共同生活援助グループホームが山形市桜町にオープンします。
山形さくら町病院から300m程離れた場所の150坪程の土地に、延床面積140坪の2階建施設になります。
1階は就労支援を目的とした作業所(定員30名)になり、現在NPO法人あゆむ会が運営している作業所を継続していきます。多岐にわたる作業内容にも柔軟に対応出来るよう多目的なスペースを確保し、地域にも開かれた作業所を目指しています。
10月23日第53回上山病院祭を開催しました。53回という数字を聞くだけで、歴史を感じます。さて、今年も1000名を超えるお客様にお越しいただきました。上山病院、精神科といえばどうしてもマイナスなイメージをもたれがちです。しかし、今回初めて来て頂いたお客様からは「こんなにいい病院なのね」「昔のイメージがあったけど変わったわ」「また来たい」というお声を頂き、病院のイメージアップにつながったのではないかと思います。
お客様の中には子連れの若い方も沢山いらっしゃいました。幅広い年齢の方々に上山病院が浸透しているのだと感じ、上山病院祭は、地域の皆様と交流できる大切なイベントなのだと実感しました。今年、初めて参加していただいたフラダンスのみなさん、毎年ご協力してくださる地域の皆様、関係者の皆様、本当にありがとうございました。
お陰様で、賑やかな上山病院祭になりました。これからも、開かれた病院として地域の皆様の健康に貢献できる病院になれるよう、私自身も努力していきたいです。
病棟での作業療法活動として行っている「リラクゼーションタイム」を前・後編にて紹介いたします。活動内容は、深呼吸と簡単なストレッチをつぼ押し、加えてハーブティーによるお茶会となります。はじめはストレッチですが、症状や慣れない環境が原因で無意識のうちに力が入り、眠っていても緊張している時があります。それは慢性的な頭痛や肩こり、疲労につながることがあります。また入院中は、運動する機会も少なくなるため、週1回リラックス、負担なく運動することを目的に行っています。
はじめにストレッチについてですがまずは深呼吸。鼻から5秒かけて息を吸います。1秒息を止め、今度は口から5秒かけて息を吐きます。これを10回ほど繰り返します。不思議とこれだけで身体が温まってきます。
呼吸に慣れてきたら、今度は吸うと同時に腕を上げ、吐くと同時にゆっくり腕を下ろす動きを繰り返します。リラックスできる音楽があれば雰囲気があっていいですね。(活動ではバッハのG線上のアリアをかけています)
次に首⇒肩⇒腰⇒足と順番にストレッチを行います。ゆっくりと伸びたり回したり。身体を伸ばすときには、息を吐きながら行うことがポイントです。つい「イテテ」を声が出てしまいがちですが、それはお勧めできません。気持ちがいいなというところで止めることが大切です。10分から20分程度身体を動かすと汗ばむ方もいらっしゃいます。次号後編ではつぼ押しとハーブティーによるお茶会の方法について紹介いたします。
山形さくら町病院 作業療法科 海野風美
うつ病、抑うつ、うつ状態、神経症、適応障害、人格障害、躁鬱病、認知症(!)、非定型精神病、少し難しい書き出しですが、これらは全て同じ疾患に分類され得るということがあり、最近まで不思議でした。
最近、ある高名な先生の監修された、成書にあたり納得したことがありました。これは診断に納得したわけではまったくなく、このような混沌とした状態が存在している、歴史と経緯が概要明らかにされていたからです。
現在、保険診療する際には、病名を決定しICD-10やDSM-IVなる国際疾患分類に基づいた記号・番号まで記載することが求められます。ところが、これについて、しばしば異論を唱える議論が、医師の間でしばしば見られていました。私自身、臨床現場を多く経るにつれ、多彩な疾患者群と診断名の多さ、見立ての多様さ、そして、診断基準と分類の違いを実感することとなり、書き出しの疑問があった次第です。
特に、現在「双極性障害スペクトラム」と言われる、従来の躁鬱病やうつ病を含む概念への進化には、先人達の苦労が刻まれています。古くは、紀元前5世紀ヒポクラテスの記載に始まり、前2世紀頃に躁鬱病らしき概念ができ、19世紀独に至ると、現在も名を残す多くの先人精神神経科学者達により研究がなされ、第二次世界大戦等を経て、米国の精神医学が世界を席巻するに至ったなかで双極性障害という概念が生まれてきたと記してありました。
そして、未だに論争の整理は途上であり現疾患分類は、あくまで暫定的な分類であるという事を、成書に当然の如く述べてあることに驚きを隠せません。( - □ - )!!いわゆる内科・外科のような診断基準と、精神科の診断分類は質が異なるのです。
実際の臨床では、うつ病について、経験上漠然とした、立て分ける態度を取っていましたが、「内因性」と「神経症性」という立て分けの議論がいまだに、しかも学会を2分するかの如くある事を知り、さもありなんと納得したものです。
認知症と何の関係があるかと思うかも知れませんが、実は認知症と「高齢者うつ病」も関連が指摘され,議論の多いところなのです。今までは、脳血管障害合併によるアパシーの為に、認知症が「うつ」と言われたのではないかという解釈が多く、また理解もし易かったのですが、最近の研究成果などから、別の機序で認知症の予備軍である可能性が示唆されています。
振り返ってみると、今までも抗うつ薬が多くの認知症例に使用され、一定の効果(抗うつ作用を期待してではなく)が認められてきました。これらとは無関係ではないことが次第に解明されつつあると期待しています。
さらに、アルツハイマー病においても、診断基準の改定が進みつつあり、いわゆる「軽度認知機能障害」例において、「抑うつ」の位置づけが再検討される必要も出てきています。
高齢者の「うつ状態」は早期発見診断評価がこれまで以上に重要と思われます。
上山病院 田中康裕