こころの宅配便 あいあい

2012秋号No65

からだ ストレスとの上手なおつきあい③

2012/10/01

ストレスとは「様々な刺激に対して、心身が状態を一定に保つために生じるはたらきや反応」であり、前回は身体のストレス反応への対処として「リラクゼーション」をご紹介しました。今回は「精神的対応」への対処方法についてご紹介いたします。

「精神的反応」をわかりやすく言えば、「感情」や「考え」です。ストレスを感じた時、私たちはどんな気持ちになるでしょう。イライラ、モヤモヤ悲しみ、しんどい…こうした反応は、実は個人差が大きいと言われます。
それはなぜか?
人間は「ストレスのきっかけとなる対象をどのように評価するか」によって、生じる反応が変わるからです。この過程を「認知的評価」と言います。例えば私たちは初めてのものを見た時、自分の経験や学習した知識をもとに判断・理解します。それと同じで、一般的にはごくありふれたものでも、本人が過去に嫌な体験をしていれば「怖い」と思うし、ストレスだって強く感じるのです。

では、この「認知的評価」への対処はどのような方法があるのでしょう。
一つは「考え方を柔らかくする」方法です。日常の何気ない場面で、「~するべき」「~しなければならない」と考えることはありませんか?一見、こうした考えは真面目でしっかりした印象を持ちますが、過剰になれば自分をがんじがらめにします。人の感情や考えには個人差があって当たり前。その「違い」に直面したとき、「人は人、自分は自分」と「柔らかい感じ」にとらえてみると、穏やかな気持ちに慣れます。

もう一つは、「自分をねぎらう」です。日本人に多い傾向として勤勉さ・我慢強さが挙げられますが、それと同時に「もっと頑張らなきゃ」と自分に厳しい人も多いそうです。もちろん頑張る気持ち自体は大切ですが特に高い目標を掲げている場合は、「どこまで頑張ってもできない」と絶望さえ感じてしまうこともあります。人間は無限ではありません。頑張るためにはエネルギーが必要です。「ここまで自分は頑張った」と、まずは自分で自分の「できたこと」に目を向け、認めてあげることが、何よりのエネルギー補給になります。

次回は最終回として「ストレスに向き合う対処方法」についてご紹介します。

記念講演会

2012/10/01

日時

平成24年10月25日(木)
午後6時30分から午後8時

会場

上山市体育文化センター(軽スポーツルーム)

演題

うつ病ってなに?
上山病院 院長 江口 拓也

第54回上山病院祭りのご案内

2012/10/01

平成24年10月28日(日)午前10時から病院祭日曜模擬店を開催いたします。地域の皆さまはもちろんのこと、たくさんの方のおいでをお待ちしております。

イベント

山形大花火大会~ご近所の方と一緒に~

2012/10/01

8月14日、第33回山形大花火大会が開催されました。この日夕刻より山形さくら町病院9階に特設観覧席を設置し、地域の皆さまに開放し多くの方に来ていただきました。

花火が打ちあがり、歓声とともに「この花火を見ると“夏だなぁ~”と実感する」など、地域の方々の席から明るい声が聴かれました。色とりどりの用意された2万発というスケールの大きい花火ひとつひとつに魅了され、最後のフィナーレでは、山形市の広大な空一面に「地球はひとつ」というメッセージが降り注いだような感動すら覚えました。

ぜひ来年も地域の皆さまと一緒に、花火大会を観覧できることを楽しみにしております。

からだスッキリ!リンパマッサージ

2012/10/01

はじめに

頭痛や肩こり、低血圧、足のむくみやだるさなどの様々な症状に悩んでいらっしゃる方はいませんか?
老人デイケア「あららぎの里」ではリンパマッサージをスタッフと利用者様が取り組み始めました。コツをおさえて行えば身体に様々な良い効果が出るため利用者様からも好評をいただいております。

今回はこの場をお借りしてリンパマッサージについてご紹介します。

リンパ液のはたらき

不要になった細胞組織の老廃物や余分な水分を押し流して、身体全体の調子を整えるという重要な役割を担っています。また、ウイルスなどの異物から体を守る抗体をつくるのもリンパの役割です。つまり、体が正常な状態を維持するためには、リンパ液が常によどみなく流れている必要があるのです。

リンパ液は周辺から刺激を与えると流れが促されます。マッサージで刺激して、よい流れを取り戻しましょう。

リンパマッサージのコツ

手のひらでできるだけ大きく当て、やさしくゆっくりと動かします。

リンパ液の流れる方向に沿ってマッサージし、リンパ節(リンパ液が集まる所)に流します。

リンパマッサージの例~肩こりに効くマッサージ~

かたくなった首筋を流す(5回繰り返す)

首を左右からはさむようにして、両手の手のひらを首の真横にあてがう。

手のひらを使い、首筋を後ろから下に向かって円を描くようにマッサージする。ゆっくりした動きで5回繰り返す。この時、力を入れ過ぎないようにしてください。

あららぎの里 作業療法士 高堰 悟

はじめが肝心

2012/10/01

病気や怪我で急に健康が失われた状態を医療用語では「急性期」といいます。急性期の医療では「診断をつける」「病気の進行を止める」「病気の回復が見込める目途をつける」ことが主な目標になります。早期発見、早期治療、とにかく“はじめが肝心”と言われています。

今秋、山形県でもドクターヘリが導入されることになりました。ドクターヘリに関して様々な効果が期待されていますが、一番は治療開始時間の短縮です。外傷、脳梗塞、心筋梗塞など様々な救急疾患では、治療開始までの時間が短ければ短いほど治療成績が良いことが知られています。しかし、病気や事故は都合よく病院の近くで起こってくれるわけではありません。医療過疎の問題もあります。ドクターヘリはこの「隙間」を埋める役割を果たし、現場まで素早く医療スタッフを運び、迅速に処置を開始します。搬送の間も途切れることなく治療を継続し、今までなら病院までたどり着くことさえできなかった重症の患者を救命することができるようになります。治療開始を早めることだけで運命を変えられる!かなりお得だと思いませんが?

糖尿病は、慢性疾患として精神疾患とよく比較対照されるのですが、この糖尿病の治療に関して「レガシー効果」というものがあります。大規模な長期研究の結果、早期に厳格な治療をした人たちは、最初の数年間こそ差は出ませんが、数十年後の合併症、死亡率は明らかに少ないことがわかりました。このことにより、糖尿病の早期発見、早期治療の有用性が一層注目されるようになりました。最初は目立たないけれど生真面目に治療をすると、まるで貯金をしたように安定につながるんです。

精神疾患も「はじめが肝心」であることが言うまでもありません。
精神病発症から受診にいたるまでの時間を精神病未治療期間(Duration of Untreated Psychosis:DUP)と言いますが、このDUPが長いほど治りにくくなり、再発しやすいという結果が様々な精神疾患で明らかになっています。また、発病後の最初の数年間は臨界期(Critical Period)と呼ばれ、この期間の安定がその後の病状を左右する重要な時間と言われています。つまり、早期発見し、中断することなく治療を継続し、安定した状態を保つことがとても大切なんですね。今後は、こういったことを背景に、訪問型支援(アウトリーチ)を核にした包括的な早期支援サービスの充実と、正確で迅速な情報を当事者や家族に提供していくことがより重要視されていきそうです。

急性期医療全体が変革していく時代の中で、取り残されている分野、地域が出てきています。病院数、ベッド数はそれなりにありながらも、質的な偏りのため医療過疎と何ら変わらない状況の地域も多くありますが、皆さんの周りではどうでしょうか?一度、真剣に考えてみることがおすすめします。

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